膝(ひざ)関節の諸症状に対する はり(鍼)治療
まず、膝の関節の症状を列挙します。
● 歩くと膝が痛い、正座が出来ない、和式トイレでしゃがむことが出来ない、
● 膝がこわばる、ひざの曲げ伸ばしに抵抗感や痛みがあり、曲げ伸ばししにくい、
関節内で引っかかる感じがする、ひざの関節周りで引っかかる感じがする(関節の可動範囲がせばまる可動領域の制限が診られる)
● 立ったり座ったりすると膝がぐらつく、力が入りにくい、
● 膝関節に水がたまっている、
これらの症状を引き起こしている病気や異常な状態には、以下のものがあります。
変形性膝関節症(高齢者、生理が上がった女性の方は、骨の生成が悪くなるので発症率が高い)
急性&慢性の関節炎
膝関節内にある軟骨の損傷、半月(板)損傷など
膝関節の捻挫(ねんざ)を長く放置した、あるいは適切な処置が施されていない(湿布しかしなかった)
膝関節の周囲の筋肉や膝の靱帯(じんたい)の損傷、強直や拘縮
膝の脱臼、腓骨や脛骨の骨折の後遺症
膝に負担がかかるスポーツや仕事などをしている…etc.
上記の症状や異常な状態には、膝関節内の深部刺鍼が有効で、ことに膝が曲がりにくい、正座が出来ないなどの症状には劇的な効果がありますが、このはり(鍼)治療はかなりの技術と経験を要します。
また、やや痛いはり(鍼)治療になります。
それで今現在、ほとんどの鍼灸師が膝関節内刺鍼をしないようです。
(このことは、正座が出来なかった症状で悩んでおられた方から伺いました。 その方は3~4回の刺鍼で正座が可能になっております)
刺鍼部位としては、膝関節の周囲は当然ですが、膝関節内深部刺鍼が重要です。
刺鍼部位としては、
足の陽明胃経の特鼻(とくび)、奇穴の外膝眼(がいしつがん)、内膝眼(ないしつがん)、
これらは膝蓋骨(膝のお皿の骨)の下部にあります。
膝が曲がりにくい、正座が出来ない、ひざに水がたまっている(関節炎、捻挫など)には特に効果のある刺鍼部位ですが、症状によりかなり深く(2~3センチ)鍼を刺入します。
同じく関節内刺鍼として、足の太陽膀胱経の、委陽(いよう)、委中(いちゅう)にも、刺入します。
またこういった症状と関連がある足首、股関節、腰、骨盤、の状態を診て、刺鍼することが大切です。
症状のあるところだけに、浅くたくさん鍼をうつ治療を受けていらっしゃる方で、はり(鍼)治療の効果に疑問を持たれていらっしゃる方は、膝関節内深部刺鍼を受けてみてください。